パール判決書(太平洋戦争の考え方)

東京裁判刊行会

S41年6月 佐山高雄

パール判決の意義  ⇒ 田岡良一、氏

ドイツ、ニュールンベルグの国際軍事裁判が終わって、東京の軍事裁判が開始された。勝利者が敗者を裁判し処刑することは、将来の侵略戦争の発生を食い止める役に立たない事である。 ⇒ ロバート・タフト

パール判事の求めたものは ⇒ 戦犯裁判なるものは不正を訴え、且つこの裁判が将来の戦争を阻止する利益をもたらさず、世界の諸国民が再びかかる愚行を繰り返す事なきよう戒める事にあった。

ニュールンベルグ裁判

1945年5月、ドイツ降伏後ロンドンで「軍事裁判に関する国際会議」

アメリカ、イギリス、フランス、ソ連の4カ国により行われる。

ドイツが開始した戦争を国際的犯罪「侵略戦争」とし、ナチス・ドイツに対する強い復讐心からこの裁判は企画された。

(ユダヤ人の大量虐殺や、捕虜虐待や、占領国住民への強制労働の実態等)

侵略戦争とは何か

ソ連の対日宣戦、オランダの対日宣戦の事情~自衛のための戦争(正当化)

・戦犯(戦争犯罪)

通常の戦争犯罪(パール判事による、厳密な意味での戦争犯罪

軍法会議にかけて処刑する事が、当時の国際常識であった。

東京裁判とは何か

太平洋戦争終了後、日本を占領した連合国最高司令部が設置した「極東国際軍事裁判所が主要戦争犯罪人東条英機元首以下25名に対し行った裁判。

(原告側)

アメリカ、中国、イギリス、ソ連、オーストラリア、カナダ、フランス、

オランダ、ニュージランド、インド、フイリピンの11か国

A級戦犯とは

 「平和に対する罪」「人道に対する罪」について、刑事責任を問われた者たち。

 従来これらは国家の責任とされ、個人の責任は問われて来なかった。

・「平和に対する罪」

 第二次大戦までの間に、不戦条約に違反する武力行使はしばしば行われたが、これが列国から犯罪とみなされ、個人的な責任を問い刑罰を科すという事が問題となった例は皆無である。

パール判事は、この「平和に対する罪」の罪名によって罰することに全面的に反対するのである。

・日本軍による敵国非戦闘員殺害問題を検討した際、連合国は戦争の長引くことを防ぐために必要であると称して非戦闘員を無差別に殺傷し、一本の木も一軒の家も残さず破壊する原爆を日本に使用することを決定したのである。

<第一次大戦時にドイツ皇帝(ウイルヘルム二世)が同盟国オーストリアの帝に対して戦争を早く終わらせるためには、老若男女を問わずに殺傷し、すべてを破壊するという残酷な行為を示唆したとされるが、このドイツ皇帝の精神は連合国によって実践されたのである。>

・日本軍には、このような仕業は見当たらないと無罪を主張したのである。

無罪勧告の意味 ~ 角田順 氏

 検察側の共同謀議の訴追には該当せず、従ってその関係からは無罪とせざるを得ない。という意味である。「日本国の行動を正当化する必要はない」

文明論的警告

 弁護側に不利な偏見を作りだそうという目論見から生まれた「先入的偏見と故意の依怙贔屓」に囚われるときは、「憶測と疑惑とが、合法的証拠にとって代わる危険」が生ずる。

「公明正大な心には、かような信じ方は宿らない」

 ・1996年2月(カルカッタ大学の集会)

 「激動する世界の現状は、新しい思考方法を求める。人類自体の存在が問題ならば、それに対する回答は人間の心髄を以て行われなければならない。」~

 「思慮なき生気に駆られることを避けるように、そして超絶の実在が常に諸君の人生の指針であるように」

以上 要旨記述 2019/05/06

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