人生問答(下) 松下氏から池田氏へ

創価学会関連書籍等

松下幸之助・池田 大作

<松下氏>(質問)

6、政治に望むこと

・政治の目的は何か

<池田氏>答え

個人の幸福と社会の繁栄との一致。私見と公権の境界を明確化。私見の対立を揚する。 大国のために小国が犠牲になるべきでない。

・政治に欠けているもの

<池田氏>答え

庶民の苦しみを我が苦しみとしている政治家が何人いるだろう、その苦しみを知り解決への一念に立ち活動してほしい。

・民間が政府に任せた

民間が依頼心を持つこと

<池田氏>答え

政府がどこまでやるか、基本的には民間が全てであり必要に迫られて政府を作り、政府でなければできないことを民間が政府に任せた。

・国家権力と人民

錯覚はどこから生まれるのか、政治の私物化という事実

<池田氏>答え

統治権の根拠は国民に求められるが、行使は組織が行う。錯覚が冷徹な事実としてのしかかって来ている実情あたかも支配層が民主日本の国土を領有しているかのような錯覚さえ抱かせる。権力の魔性の実体は人間生命の中に巣くう権力欲にあるエゴである。

・権力行使の在り方

<池田氏>答え

民衆の抵抗運動というものは国家(行政府)との価値観の相違から生じるものです。あくまでも原論によって結論を見出すべきであって、暴力、権力をもってすることは民主政治の原理に反する行為です。議会の決議を以って終わるのではなく現実の行使の場においても貫かれなければなりません。社会的弱者、経済的弱者をどこまでも守りぬくための権力の行使であってほしい。

・国民の声と政治(圧力団体の横行)

<池田氏>答え

主権者とは単なる投票要員ではない。議員は公僕、政治を監視し使っていく。

・政治家が尊敬されるには (政治家を軽視していないか)

<池田氏>答え

視点が逆転している。政治家自身が実績を通じて獲得すべきであってこそ尊敬に値するものです。

・総理大臣に望まれる要件

<池田氏>答え

  • 下僕としての姿勢(先憂後楽)②未来展望への哲学(世界的視野に立)
  • 政策の立案、施行への智慧(官僚に丸投げする政策、答弁書の棒読み)

・首相と党首の在り方

<池田氏>答え

同一人物でないほうがベターであるが議院内閣制の上から見るに与党(多数党)の党首が首相となる仕組みです。総裁選に起因するこの総理大臣指名は形式化し儀礼となりここに国会よりも党内抗争、取引が優先される結果をもたらしている。

・歴史上の偉大な政治家

<池田氏>答え

第16代アメリカ大統領リンカーンを挙げたい。

「人民の人民による人民のための政治」を掲げ奴隷制度開放、アメリカ民主主義の基礎を築いた功績はあまりにも有名であり後世に光り輝いている。   

  • 国家百年の大計を標榜(一党一派、一部勢力への便宜供与でもなく)
  • 現実に根差した理念を持ち事に処した。
  • 庶民の側に立ち慈愛の心を持って接したとされている。

・代議士の政治責任

「内閣は行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負う」

<池田氏>答え

与党議員と云えども内閣の責任を追求するのは当然の事であってなれ合いで終始するはもってのほか。失政があった場合内閣は総辞職するか衆議院を解散して国民の信を採る。野党議員は失政を追求し総辞職に追い込むか国会の解散を迫るそこに与党と野党の責任の取り方に違いがある。

・若い議員が少ない理由

<池田氏>答え

  • 金と組織(資金の調達能力)
  • 派閥組織が若い青年の芽を摘んでいる
  • 年功序列が幅を利かせている

・政治家の出身分野

<池田氏>答え

選挙制度(区割り、定数、費用制限)組織と金そして顔(タレント性)

国民の政治に対する取り組み姿勢、選挙姿勢の転換が急務

・選挙運動の自由化

<池田氏>答え  賛成

・小選挙区制と選挙費用

<池田氏>答え

制度に問題があるのではなく、費用の多少で当落が決まる体質にあると言える。この制度の議論の起源は憲法改正のための選挙区制という法案にあって改正に必要な3/2の議席の獲得を先代の鳩山内閣(自)時代に目論んだ勢力挽回策であった。(得票数が過半数を割る当時の自民党の政策)

・政治資金の寄付

<池田氏>答え

寄付を受け取ることは何ら問題ではないが、企業による大口寄付は禁ずるべきである。あくまでも献金は個人に限るべきであって、政策と人物本位で決められるべきである。

・投票率の低下と民主主義

<池田氏>答え

政治不信は国民不在の政治に起因する問題であって、民衆を裏切るような政治家を監視し無批判な投票に終始することのないよう政治への見識を高めること。

・政党の対立と協調

<池田氏>答え

戦時中の大政翼賛会方式では独裁体制となり好ましくないが、対立抗争の見られない議会であってもならない。

・議会に衆知を集めるには

<池田氏>答え

選ばれた議員自身が全国民的見地に立っていないところに起因する問題であり、議員自身に国民の声を聴く機会の増大を強く望む。

・多党化か二大政党か

<池田氏>答え

保革+中道の三つの政党が政権交代し得る方向も考えられる。

(現在の自公連立路線は、はたして将来どうなるのか)

・派閥の弊害

<池田氏>答え

派閥が生ずることは信頼を裏切ることに通じ国民の政治不信を招く弊害をもたらしている。人間の本性だから克服困難として諦めること自体間違いである。私利私欲、権力欲への本性に支配されることなく高い理念、目的を持って乗り越えていこうとする本性も持ち合わせているはずです。

・議員と政党との関係

<池田氏>答え

地方自治の確立がなく党に対する議員の自立性が弱い。国民のための議員であって政党の議員ではないという立ち位置で国民の福祉に反する政策には毅然とした態度で対決する姿勢が求められる。

・政治の生産性向上

<池田氏>答え

能率向上による企業利益の増大という方式は政治分野では経済的報酬という形では出てきません。利益追求の企業との根本的違いです。尚役人根性という能率化を妨げる気風も醸成されてきています。基本的には職業意識の変革を図ることになると思います。

・裁判と世論

<池田氏>答え

三権分立の制度は、行政、立法府から独立して判断を下す精神から生まれたものです。国民から独立し、世論からも遊離したものであるということでは決してない。裁判所は、国民の側に立てるための制度的保障機関です。

・国難に殉じた人をいかに祭るか

<池田氏>答え

現在の靖国神社を国家管理化する事には反対。憲法違反(信教の自由)です。

生命尊厳を認めるところに民主主義の精神が宿り、戦争放棄の宣言は理想的なものです。今後あらゆる障害を乗り越えていってこそ世界の模範となっていけるのではないでしょうか。国家神道が思想統一の号令に用いられ戦争へ突入するための精神的準備に利用された過去の想い出は忘れられない悲しい現実であり、再び英霊を慰めるという理由で復活させることには断固反対する必要がある。

7、社会を見る目

・物価騰貴の根本原因

<池田氏>答え

賃金の上昇→生産コストの上昇→物価の上昇→賃金の上昇という悪循環

経済政策仕組みの問題であって、経済的に反映しなければ分配も多くならないというあたかも馬の鼻先にニンジンをぶら下げる論理である。従来からの財界との癒着の上に立っているこの姿勢から改めなければならない。

経済大国から福祉国家への転換が今求められている。

・物不足と買い占め

国民的な躾、安定した社会をどのように創り上げたらよいか

<池田氏>答え

物不足の実体 ~ メーカーによる売り惜しみ、価格つり上げへの隠匿を暴露買いだめ(買い占め)~ 庶民を責めるよりは、大手商社に起因する

情報や噂に影響されやすい大衆心理は、生活防衛上の理由から冷静な判断は下せない弱さはいなめませんが、大事なことはこのような非常事を生まない事です。

・治にいて乱を忘れないために

石油危機に思う

<池田氏>答え

先見性を養うこと。それに伴い長期政権のゆるみからくる、国際社会の動静に後れを取ってきた歴史がある。尚、消費文明の現代にあって資源の浪費という危うさ、脆さというものを再認識すべきである。

・公共事業と住民運動

住民運動による(集団圧力)公共事業の遅れについて

<池田氏>答え

“知らしむべからず、由らしむべし”封建時代的な感覚ではなくあくまでも国民の裁可を受けるべきである。もし一人でも生存の権利を奪う事になるようならば、断固として退ける勇気が必要である。

・私権と公共性の対立

住民との適正な一致点は

<池田氏>答え

なぜ反対運動が起きるのか~着手前からの住民との納得ある交渉が得られていない点と公共性に名を借りた強引な公団等の行為が私権を脅かしているところに問題がある。「成田新空港の補償問題」に見るように金権体質からくる住民心理を理解していない取り組み(思考)にも対話不足が大きく影響している。

・労働組合運営の基本的理念

 <池田氏>答え

  組合本来の精神に立ち返り、手段としての運動の在り方を再検討すべきである。集団的運動が長期化、恒常化するとそのメカニズムによって自己運動化するという非人間的な論理に引きずられていく面が指摘できるのではないか。特に指導者においては内部団結を図りながらも人間尊重の思想を実践していって頂きたいことを願う。 

・労使関係の在り方

基本理念の必要性(春闘に見る様相)

<池田氏>答え

成長よりも調整の段階に入った感の日本経済の在り方。

組合自体は弱者救済の基本理念の上にあります。ところが春闘の動きを見る限りにおいては、弱者切り捨てといった感があります。

それに政府の調停の不味さ、加えて経営者の無力を痛感させられます。(労使間の相互不信)労働者も資本家も共に人間であるという自覚に立って、信頼回復に努めていってほしい。

・対立と調和

<池田氏>答え

対立のための対立という不毛の迷路に迷い込むのはなぜか。相互不信の壁をどのように取り払うか。~ 西ドイツでの試みを参考にして労働者の代表を経営会議に参加を呼びかけるといった方策により、幾分歩み寄りの方向が認められたという。対立が亀裂とならない歯止めは対立する相手側にあるのではなく、むしろ自分のほうに存在するということです。ともあれ閉ざされた精神から各人が開かれた調和の精神への一念の転換を図っていくことが重要です。

・人手は不足しているか

<池田氏>答え

社会活動の円滑な運営を妨げているのは、人手不足の分野だけでなく利権の渦巻くところに群がる人々自己のエゴ、果てしない権力闘争に明け暮れる人たちその数の何と多いことか(権力、財力、虚栄を売り渡す人が絶えない)青年たちを人間らしい正しい生き方に目覚めさせることが出来たら、人手不足のみならず人材の枯渇も解決の方向へと向かうでしょう。

戦前戦中において、国情を至上命令とした“ひずみ”、戦後の経済至上、物質文明変調が精神文明を圧迫し続けた結果、大企業の傲慢体質と巨大な利権の横行という悪の温床を築き上げたと言えよう。

金権、権力の奴隷になることなく真実の生き甲斐ある生活へと権力、財力を持った人たちが自己変革する事に期待したい。

・労働の意義、勤勉の価値

<池田氏>答え

社会機構の労働システム(管理化されたオートメーション化)画一化され創造性が縮小して人間が部品化しかねないことが問題です。

労働と余暇(ゆとり、憩い)人間的なシステムの実現に期待したい。

・完全雇用と労働意識

完全雇用は国民にとってよかったのか

<池田氏>答え

国民というよりは資本家経営者にとっては良かったのではないか。

労働流動性の問題は雇用者側のエゴに過ぎない。

終身雇用制との関連で考えなければなりません。失業の怖れによって後押しされた勤勉ではなく積極的な労働意欲からくる勤勉こそが質的にも高い成果をもたらし企業力も高まるものです。

・株式の大衆化

<池田氏>答え

正しい理念を身に着けた大衆(あらゆるエゴの本質を見抜く力)企業の暴走の歯止めとなり、企業エゴ追放の担い手となるならば企業の公共性を自覚させ促す有力な方法である。

・公害防除の費用の分担

<池田氏>答え

水俣病の悲劇的体験の教訓から費用の負担を惜しまない経営姿勢が大切。

当然費用は企業が持つべきである。住民に愛され広く庶民が費用の負担援助を引き受けるような企業体質に転換していってほしい。

・税制、税率の基準

<池田氏>答え

戦後のシャープ勧告による大企業擁護の原則は変更されていない現状。

大衆課税への厳しさは募るばかり。

・企業は諸悪の根源か

<池田氏>答え

企業は重税を云々する前に、庶民の怒りと不信を拭い去るための努力を示すことが先決、信頼を取り戻すことでしょう。

・人種差別をなくすには

<池田氏>答え

社会的慣習や感情の伝承による広い意味での教育によるものである。生命の表層部分に植え付けられた硬い感情であると言えようか。(アメリカの黒人差別問題などは根が深い)地球人、世界人といった共通の基盤に立っているお互いを発見することで人種差別の感情を取り払う教育も可能です。

8、何のための教育か

・教育の目的 (知識重点の教育)

<池田氏>答え

知識偏重教育(人間教育の遅れ)「教育権の独立、教育国連構想」

義務教育の基本的理念

<池田氏>答え

ナショナリズムの風潮と結びついている。舞台は一国といった狭い枠を超えた国際時代にあっては知識、良心両方が備わって初めて正しく発揮されるもの。

・教育の改善すべき点

<池田氏>答え

学歴偏重の風潮から受験校と塾の流行は悲しいことです。学校と家庭の繋がりの重要性 ~ 初代牧口会長、二代戸田会長の提唱“半日学校制度”

・学問のための学問では

<池田氏>答え

人間観が確立されていないので、人間の全体像を捉えるべき尺度がない上に専門分野の方法を以って人間を見る尺度としている。

すべてを生み出した人間自身に関する学問が要請される。

・学問の自由・大学の自治 (思想、良心の自治)

<池田氏>答え

大学の自主性が守られることが規定されなければなりません。

平等の権利を強調するあまり権力が大学の自治に関与する口実を与えるスキを作ることを怖れなければなりません。

・創価大学の精神と実践

 <池田氏>答え

三つのモットー

  •  人間教育の最高学府たれ(教育の根本義)
  •  新しき大文化建設の揺籃たれ
  •  人類の平和を守るフオ―トレス(要塞)たれ

・私立大学の特質

<池田氏>答え

  私大の特質は、国家権力からの制約を受けることなく自主的運営にある。

  思想の自由、研究の自由、発表の自由(学問研究の推進)

  国公立の大学は、国家からの要請に束縛されるという条件を負っている。

・大学教育の在り方

大学の企業化への危惧

<池田氏>答え (教育と研究)

学歴偏重主義に陥らないための“知性と心情”の教育

社会人、職業人としての知識と智慧そして人間的な心の豊かさを育む。

研究の目的は、真理の探究と発見の電源地である。

・学問研究を行う体制

大学自体の研究部門と適正数

<池田氏>答え

大学自体は教育を主体とし、専門研究は大学院並びに研究所に移される。

適正数は定めようがない。

・教育の普及と犯罪の増加

<池田氏>答え

教育の質的な面 ~ 知識偏重教育に対する批判(知の創造)

「教育の本質」ヒルテイの教育論

“全ての正しい教育は、全生涯事業である自己教育に人を導き入れるものでなければならない”。知識そのものが、人間の生き方、あり方に直接影響を与えるのではない。

知的レベルのアップが知能犯の増加になるのは至極当然である。教師と学生の人間交流、接触を通じての人間練磨の重要性にあり。

・教師の選び方

<池田氏>答え

教師の待遇改善による質の向上により、教師を尊敬し、厚く遇する風潮が作られることで人が集まってくる。人格に少々問題があるとして規制を加えるのは思想統制に繋がりかねない。

・親としての責任

親子の断絶、親の権威の失墜

<池田氏>答え

家庭教育において、子供とどう接するか。どうとらえるか。社会を構成する一個の人格として扱っていく。“子供の中に大人がある”親自身が自らの生活の中で、身を持って示していくことである。

・賞罰の必要性 (信賞必罰)

<池田氏>答え

ビクトルユゴーの「九十三年」の中で砲手の怠慢から砲が暴れ必死で事なきを得た砲手に将軍は先ず勲章を与えたのちに死刑に処すという場面が登場する。諸葛孔明の“泣いて馬謖を切る”は有名な場面ですが、道理を抜きにして、感情で事を処する人が多い。

型にはめ行うことには賛成できない(公平である事)

・歴史教育と古代神話

<池田氏>答え

伝説、神話について三つの立場

  •  創作された虚構とされるもの(体制を権威ずける為)
  •  歴史的事実に基ずくもの
  •  歴史的事実の内容、意義を変容させ盛り込んでいるもの

“トロイの遺跡”のように始めは神話として扱われてきたトロイ戦争

神話や、伝説の多くは権力を裏ずけるために権力者によって編まれたものが多くみられる。

・学問の専門化と総合化

<池田氏>答え

先人が発見した真理、法則は「一面の真理」であったとしても貴重な人類の遺産である。

西洋おける(ルネサンス)近代理性の母体ともなった「ギリシャ哲学」。

東洋におけるインドの「ウバニシャド哲学」、仏法の宇宙と生命に関する哲理、漢民族の「陰陽五行説」と「宇宙と人間」との関連哲理。

9、現代文明への反省

・科学の進歩に欠落していたもの

(豊かさと便利さ)精神的な進歩とは

<池田氏>答え

物質的繁栄というものは進歩に値するか。人間の英知を外に向けて発揮推進してきた科学の進歩。「21世紀は生命の世紀」生命尊厳の思想

・心の豊かさを生み出すには

<池田氏>答え

思いやりとか誠実さとか、愛情という心の豊かさが押しつぶされている。

生命の世界は無限の宝庫。この生命の開拓の創造力の働きを実りあるものにするには生命哲学とそこから実践へと指し示す宗教が必要不可欠の条件となる。真実の宗教により自らの生命を開拓し変革への努力を続けるならば、豊かな心情と智慧と慈悲のエネルギーが汲めども尽きぬ清水の如く噴出してくる。

・精神の荒廃を救うには

(不平不満の原因は) 無関心、無責任、対立抗争

<池田氏>答え

エゴの存在から発した側面は一方は保身のため他方は自己主張の暴走と云える。人々は自己の欲望追求に汲々として連帯の絆を結ぶこともなく益々閉ざされた自己の中へと入り込んでしまうのみです。この解決には、神や国家主義の亡霊ではなく、人間自身の中に求められなければならない。

・物質的豊かさの陰で (衣食足りて礼節を知る)

<池田氏>答え

礼節を知るにはそれなりの努力を必要とする。生存の基本的条件が満たされない環境の中では、自己自身が生きることにすべてのエネルギーを傾けなければならず人間関係をより高めようとする精神のゆとりは中々求められないようで不可能に近い。根本的には内面が確立されているかどうかの問題です。人間自身を解明した生命の法に立脚点を置きつつ新たな人間関係の在り方を作り上げていかなければならないと主張したい。

・心の成果を積み重ねるには

幾多の先人の努力成果があるのにそれらが積み重ねられてないのはなぜか

<池田氏>答え

(心の面の成果の積み重ねは本質的に不可能)

科学的知識とか技術といった形になったものは進歩ということで成り立つわけですが、心の問題は一人ひとりが自分で取り組んでいかねばならない。

先人が歩いてきたと同じようにゼロからの努力を重ねなければなりません。

・自然保護のために

<池田氏>答え

人類以前の各種の生物たちの生と死のドラマが土壌となり、土台となって初めて人類誕生への道が開かれたのです。50億年もの歴史を刻む太陽系の一惑星。30億年に及ぶ生物の進化劇がなければ人類はこの地球に生存することは出来なかったと言われている。宇宙の流転、生物の進化の足跡からすればわずか数百年という短いと言わざるを得ません。すべての生物は、この生命の糸を相互に張り巡らしながら地球上に共存しています。

地球自体が一つの生命体であることの認識が今ほど必要な時はない。

いかなる生物にせよ自然にせよ、人類は略奪し破壊しつくすようなことがあってはならない。大自然からの恩恵に感謝の念を持つとともに、自ら生きるために自然の一部を破壊せざるを得なかったとしても、自然回復力、修復力の及ぶ範囲にとどめることが賢明な道である。

・資源の枯渇と人類の生存

<池田氏>答え

  エネルギー問題、人口爆発と食糧不足、自然破壊と汚染問題、これらに関わらず危惧の念をぬぐい得ない問題として、地球という大自然からの反逆が始まっているのではないか。人類集団は今この地球生命体にとって巨大なガン細胞化しそうとしているのではないかと考えざるを得ない。石油枯渇を憂える以上に大海の生物を死に追い込む汚染、核開発の効果を云々する前に死の灰に真正面から取り組むべきです。自然からのしっぺ返しはまだ局部的であって天災の陰に隠れているためその重要性が見失われてしまいがちです。

・人口過疎化の防止

<池田氏>答え

大都市集中から地方への任務分担の必要性。教育機関、官庁は大都市より地方が望ましい。中央集権的な政治機構ではどうしても地方を充実させることに意を注がなくなり、田舎を捨てて都会を目指す青年の動機にもつながっている。

・大都市の過密解消

<池田氏>答え

都市と農漁村の関連を考え地方を都市に従属させ都市の悩みを肩代わりさせるような発想は禁物。

・交通戦争の終息

<池田氏>答え

交通安全行政だけに任せておけない

<池田氏>答え

車の台数、構造、技術、心構え、交通環境の整備、取り締まり、罰則、交通秩序、歩行者、自動車産業界の問題

・親と子の関係

<池田氏>答え

子供は親のものから子供は未来からの使者と捉える。

・世代の断絶は存在するか

<池田氏>答え

存在する。本質的に避けられない。(価値の差異)過去と未来を結ぶ現在に双方が照準を置く(現在への意識)今ここを生きる。

現在に生きる壮年は、過去を大事にしつつ未来を念頭に置きながら現在に対応すべき断絶を解消するというより調和を図ることである。

・人間の幸福こそ文化の基準

文化の度合いを判定する基準は

<池田氏>答え

文化とは、衣食住を構成する物質的要素から様々な社会の組織機構さらに言葉、倫理、芸術、学問などの無形の精神文化等をも含む。目指すところは人間の福祉にあったようです。人間という原点を無視し人間不在に走ったところに起因する。科学は真理の追求、政治は権力の倫理で共に人間福祉を忘れ経済は利益追求の原理から合理性を進め非情なまでに庶民を犠牲にしてきた。今日の文化の歪みはこの自明ともいえる原点を忘れさり、主体であるべき人間を離れてしまったところから起こったと言える。

文化は人間の福祉が目的である。

10、日本の進路

・どこに発展の基盤を置くのか

国家経営の大目標、哲理

<池田氏>答え

来るべき21世紀は生命の世紀

第一に 一切の戦争の芽を摘み取る。

第二に 運命共同体としての地球人として平和中道の理念を持つ。

第三に 独自の文化と共に新たな文明の蘇生に向かう。

・国としての命運(国連について)

 <池田氏>答え

国運については、一国だけの命運という捉え方は妥当ではないと思う。一つの運命共同体をなす国際社会にある日本の国情から言ってそのように思う。

・世界に対して担う役割

ハーマンカーン博士の「21世紀は日本の世紀になるだろう」との予言に対し、いい意味での世界のリーダーの一人になれるでしょうか。

<池田氏>答え

日本は東洋と西洋の架け橋となり、欧米諸国とアジア・アフリカ諸国とを結びつける立場にあります。この道を進ものに当って政治的には完全中立の立場に立って中道主義を置くことが絶対の要件であります。イデオロギーの対立を乗り越えて、人間復権を可能ならしめる思想です。

・日本民族の特質

<池田氏>答え

異文明に対する寛容性が特質とされるでしょう。日本独自の文化を築こうとする点では、「島国根性」的な閉鎖性を生みました。戦時中においては近隣諸国への生活様式の押し付け等不評を買いました。反日感情の高まりは著しいものがあります。島国根性を克服し世界各国、民族と協調し行くことが大切です。

・憲法改正の基準は (変えてはならないもの、変えるべきもの)

<池田氏>答え

絶対平和主義(非武装中立)は変えてはならない。他に人民主義(権力分立、司法権の独立、違憲立法審査権)も変えてはなりません。尚、現在の改憲論については即断は避けたい。(首相公選、参義院改革、最高裁制度、地方自治改革案等)

・外交経済交流の在り方

高度成長の反面、海外からの反感にどう対処すべきか。

<池田氏>答え

国際経済あっての互恵平等、民間外交のすすめ

・和の精神は日本の伝統か

17条憲法“和を以って貴しと為す”五か条の御誓文“広く会議を興し万機公論に決すべし”

<池田氏>答え

17条憲法時の社会情勢は、崇峻天皇の謀反、物部氏の滅亡、朝鮮への進出

和はあくまでも理想の姿である。万機公論に決すも理想的政治の在り方であって、むしろ逆の歴史的現象として現代に至る

・太平洋戦争と植民地解放 (植民地解放というプラス面を生み出した)

<池田氏>答え

植民地解放を実現したというが、これまで植民地を実効支配してきたヨーロッパ諸国が人的経済的危機に陥ったことが第一次要因であり、二次的要因としては、民族独立の機運が高まりリーダーが出現具体的運動が興った。

戦争の愚かさ、悲惨さは筆舌に耐えない。

・天皇の持つ意義 (歴史的意義)

<池田氏>答え

絶えたことのないところに皇室の特徴と国民性が存在してきた。

権力の道具にされてきた歴史 ~ 実権亡き現人神として奉られてきた。象徴的存在であったからこそ長期に君臨できたともいえよう。

日本のタテ社会構造 ~ 天皇を法に置き換えて統治するやり方。現憲法制定以前は権力の傀儡としての象徴的存在であったが、現在は国民統合の象徴としての存在である「天皇元首論は以ての外」

・地方自治の強化策 (地方分権のすすめ:8~10ブロック案)

<池田氏>答え

指令伝達機関としての地方自治:洲立制への住民意識の向上と地方自治権

11、世界平和のために

・真の世界平和とは

<池田氏>答え

平和は望みうるものではなく自ら創出すべきものである(生命変革の哲理を持つ)アジアの戦争(朝鮮、ベトナム)行為による日本の経済復興(アメリカ軍への基地提供)は現在にも当てはまる。国家エゴからの脱却

・人類の平和を築く道

<池田氏>答え

人間の欲望の行き着く先は他人の利害得失に関わってくる。この欲望をコントロールする教えが仏教にある。人間生命の変革と必要性、そのための死刑の廃止、軍備の撤廃を叫びつつ、一方で殺人を禁じながら他方で殺人を合法化する戦争を起こす国家の不条理には誰もが気づいています。この簡単至極な論理を人類の英知を以って実現しえないはずはないとする。

・平和というものの姿 (真の平和の姿とは)

<池田氏>答え

戦争のない状態、軍隊(常備軍)の廃止、生命変革理念の国際機構(世界連邦政府の形成)

・世界と国家の在り方 (世界連邦といった一つの国を目指す)

<池田氏>答え

統合化の必要性は認めるが各国の個性を否定することはあってはならない。

・国連の効用と未来

<池田氏>答え

国連の効用や存在意識を論ずる前に、目的を推進すべきであると考える。

大国主義とエゴイズムの問題です。国家エゴを克服できなければ、どんな国際機構をもってしても無力である。

・国家防衛の在り方 (軍事力を持っての防衛)

<池田氏>答え

国家を防衛それとも国民の安全を守ること ~ 国民の安全を守ることが第一で国家を守る防衛という視点は別です。

軍事力を放棄した日本においては財力を求めて経済成長に努めてきた

・文武両道の国家

<池田氏>答え

この言葉は中国で生まれた言葉です。日本では武士は鎌倉時代以降です。

武道に長けていることは武士にとって必然的要素であった。(剣、弓、馬などの武芸百般)文の面は(儒教哲学、歴史、詩歌)明治以降は富国強兵、弱肉強食の論理(大国主義)どうしたら武を持たずに国家が活動出来るか。

・愛国心について

<池田氏>答え

愛国心の対象が国家にあったことの事実は国家が人間生存の不可欠な要素の1つであったことです。現代にあっては、世界全体を我が祖国とする人類愛、世界愛でなくてはならないと思う。

・資本主義と共産主義の対立

<池田氏>答え

南北問題 ~ 北の先進工業国と南の発展途上国との対立。

むしろ世界の主導権争いにある。日中国交回復に例を見る如く経済対立を乗り越えてきたようにその間民間交流は絶えることなく続けられてきた。

・中東紛争解決の道

<池田氏>答え

政治的シオニズムと宗教的シオニズムは区別して考えねばならない。

パレスチナの地にユダヤ人国家を作ろうとする政治的シオニズムに転嫁することでユダヤ民族以外のアラブ民族を排した事から紛争を生む起因となった。先ずイスラエルは政治的シオニズムの旗を降ろすべきです。

排外的な政治思想は国際社会に敵対勢力を生み出してしまうからです。

パレスチナ難民の問題においては、アラブとイスラエルとの宗教的宿命対決としてではなく、石油利権をめぐる大国のエゴと捉える時現代文明の持つ矛盾としてその解決には人類の英知を結集することです。

・平和を守る義務

<池田氏>答え

平和を守る義務というこの一点を国民的義務として訴えたい。

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