創価学会と平和主義

佐藤優 著

1、複数の視座から捉える

“創価学会タブーの存在、公明党への固定観念”

“真実は一つではない”“物語は複数ある”単眼的な判断ではあまりに危険。

目には見えない文字になっていない約束事からはみ出しても主張すべきことは主張している。

*名ばかりの集団的自衛権と安倍首相のトラウマ

人が心に抱くことは、外部から禁ずることは出来ない。しかし、心の問題を公共圏に持ち出す事は禁じ手だ。一国の首相が個人の心の問題(岸の安保問題)を持ち込んだので、理性の言葉でメディアを通し集団的自衛権に反対しても、安倍首相には届かない。公明党にしても連立を離脱し、きれいな平和論を主張する選択肢もあったであろう。だが党の看板に傷がついても、現実に戦争を阻止し、平和を維持することが重要なのである。

閣議決定文は、(従来の個別的自衛権や自衛隊が持つ警察権で対応できる事柄)を単に集団的自衛権としてまとめ直したものである。

*武力行使の3要件(行使できない縛り)

① 国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合

  • これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手

  段がないとき

  • 必要最小限の実力を行使

「保持するが行使できない」というこれまでの憲法第9条についての政府見解を支持しています。

2、公明党とは

資本家や企業の利益代表でもなく、組織労働者の利益代表でもない。大衆の為の中道路線をとり、日蓮仏法の価値観を基盤にして創価学会を支持母体とする政党である。歴史的には、国政政党としての公明党は新進党に所属するために一時期解散し、地方議員中心に公明を組織し、衆議院議員のみで新党平和をそして参議院議員の黎明クラブを発足させた。後に黎明クラブが公明と合併して公明にそして

98年(平成10年)に公明と新党平和が合流して公明党再結成に至る。

99年(平成11年)三党連立(自民党、自由党、公明党)

2009年(平成21年)民主党政権 ~ 公明党は野党に下野

2012年(平成24年)自民党と連立現在に至る。

・憲法二十条の精神に照らし合せれば、学会員を政界に送ることも、学会自体が政治活動を行う事も自由だとしながらも、宗教と政治では現実に起きている問題に対するアプローチが異なる  

・宗教は教えの絶対性から出発するが、政治の世界は相対的である。 しかもこの政治団体(公明党)は創価学会のためのものではないと、池田大作氏は申されている。やがて学会が支援しなくても、この政治団体の政策と実績に多くの国民が賛同し、~ 議員が幅広い支持と信頼を得て選挙でも悠々と当選するようになってもらいたい。と御指導されている。

*公明党と創価学会はお互いの距離を、外部の眼にも見える形で縮めるべきで公明党は、日蓮仏法の理念を現代社会に反映させ、反戦平和と大衆福祉の実現を目指す政党だと自らを規定し直す事で党の輪郭が明瞭になり、外部の人間にはどうしても感じられてしまうある種の“うさんくささ”が消える努力をしてほしい。そうすれば、無党派層が投票先を考えるときの選択肢の一つとして認知させるようになる。

*創価学会は皮膚感覚で国家権力の暴力性や恐ろしさを知っている。

戸田先生は、日蓮仏法の説く「王仏冥合」を社会の繁栄と個人の幸福の一致と指導された。

*丸山真男(政治学者)

「である」ことと「する」ことと題し

ともすると世間から違和感をもって見られるのは、「である」圧力が強いから

で、この「同調圧力」が強い日本社会では、常に「する」つまり動き続けてきたからではないだろうか、と指摘する。

・宗教団体なのに ~ 政界にSGI(世界)に進出するのは好ましくない等々

組織そのものが「運動」を続けている限り世俗権力と衝突する危険性を常にはらんだ宗教としては、与党化する方向に進まざるを得ないのか。

公明党の与党化は避けられないのか。?

国家の論理と衝突する可能性のある教義の解釈変更、~ 本尊解釈の問題

そして総本部 ~ 広宣流布大誓堂の完成

*国家と個人の中間

モンテスキューの「法の精神」から

権力の暴走を抑制するものは、国家と個人の中間に位置する集団を置く

例えば、村落共同体、ギルド、宗教団体、企業共同体等

SGI がナショナリズム(国家主義)を超克できている。 

・(池田氏が直接リーダーシップを取る必要はない)

・国家は「略取と再分配」「服従と保護」

・企業共同体は「労働力商品」給与と福利厚生制度という「商品交換」

・宗教は「交換様式x」と捉え、理念であって現実には存在しないもの。

3、「生きてる宗教」 ~ 普遍宗教(世界宗教)として生き残る。

・倫理的預言者 ~ イエス、ムハンマド

・模範的預言者 ~ 仏陀

ずっと人間を縛り続けてきた国家や市場経済から距離を置き、仲間同士、助け合う事で自由を担保し生きていく事を目指そうという事 ~人間革命

・政教分離の再整理

1、ドクトリン(教義)形成

創価大学に仏教学部を設置(新しい教義体系を100年くらいの射程で宗門の用語体系を再整理)し、継続的な研究ができる態勢づくりが急務となる。

同時に公明党との関係を曖昧にせず、精緻な理論構築が求められてくる事に対処していく事である。

2、移民問題と排外主義を考える。

SGIの存続によって今後移民増加という形で、日本国内において国際化が進展することになる。

4、あとがきより

・二通りの宗教信者

1、 年中行事(慣習)の一部と捉える ~ 個人の内面の問題とする。

2、 生活の中心と捉える価値観、世界観、人間観

・無意識に信じてる宗教

1、拝金教

2、出世教

3、ナショナリズム(国家主義)

以上 2018/04/24

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