プーチンの野望

一般書籍

プーチンの野望

佐藤優 著

  1. <はじめに>
      1. ・2022年2/24 ロシアがウクライナに軍事侵攻(特別軍事行動)
      2. ・国家の指導者といえども仏界に至ることは可能です。
  2. 第1章、仮面のプーチン
        1. ・死神がやってきた」~ 最初の出会い
        2. ・2000年日露首脳会談(森総理)~1956年の「日ソ共同宣言」を認定
        3. ・エリツイン政権の失敗(ロシアの領土保全)
        4. ・後継者プーチン政権を正当化する学校教育(ロシア人は、本音と建て前の区別がつく)中央集権の強化
        5. ・「悪い候補」「うんと悪い候補」「とんでもない候補」これを排除するのが選挙。
  3. 第2章、プーチンの独裁者への系譜
        1. ・カリスマ性と指導力
  4. 第3章、20年独裁政権構想とユーラシア主義
        1. ・民族理念の探究 ~ 国家イデオロギーの構築(ユーラシア地政学)
        2. ・欧米の民主主義はロシアには合致しない。
    1. プーチンの政治スタイル
    2. プーチンの世界観 ~「国家独占資本主義」として5つの帝国主義センター
  5. 第4章、北方領土問題
      1. プーチンが持つ政治家の顔・戦略家の顔・歴史家の顔
  6. 第5章、クリミア併合
  7. 第6章、ウクライナ侵攻
        1. ・NATOの東方拡大によってロシアを刺激し続けて来たことが今日の戦争に至った経緯ではなかろうか。
        2. ・二つの反体制運動とナチ支持者(ステパン・バンデラ)の英雄伝
        3. ・ドイツのシヨルツ首相の発言~「ロシアを勝利させない」に対しロシアはウクライナを非ナチス化したい(内政干渉で国際法違反に当たる)
        4. ・Qǔād(日米豪印戦略対話)~インドにとっては中国封じ込めの参加
    1. プーチンの描く「ロシア帝国」の地図
  8. 終章、平和への道程
      1. 戦争を食い止める手段はどこまで行っても「対話」である。

<はじめに>

・2022年2/24 ロシアがウクライナに軍事侵攻(特別軍事行動)

他者を悪魔化する発想は、キリスト教の影響による。

敵を愛し迫害する者のために祈りなさい。イエス「マタイによる福音書」

敵を憎むのではなく、その人たちにはどのような内在的論理があるか、頑な心が柔和になることを祈る。

仏教(法華経)ではすべての人に仏性があると説く。

・国家の指導者といえども仏界に至ることは可能です。

日本における太平洋戦争時、軍部政府は「鬼畜米英」と国民の敵愾心を煽った経緯があった。

日本は米英の実像を研究することを怠った。対してアメリカは日本研究に力を入れていた。「菊と刀」という著書に日本人論として今も読み続けられている。戦争の熱気に包まれて無意識のうちに国家と自己を一体化しようとしてしまう。その結果苦しむ民衆の姿が見えなくなってしまうようだ

小説「人間革命」には「戦争ほど残酷なものはない ~ 」

本書は、ウクライナに於ける戦争を一刻も早く終わらせ、愚かな指導者たちに率いられた人々を開放するための助けになることを願っている。

第1章、仮面のプーチン

・死神がやってきた」~ 最初の出会い

FSB(ロシア連邦保安庁=国内秘密警察)長官。KGB第二総局(防諜反体制派)

・2000年日露首脳会談(森総理)~1956年の「日ソ共同宣言」を認定

*(ゴルバチョフ氏も此の共同宣言は認可していません)

・エリツイン政権の失敗(ロシアの領土保全)
・後継者プーチン政権を正当化する学校教育(ロシア人は、本音と建て前の区別がつく)中央集権の強化

諸連邦を7管区に集約(大統領全権代表を置く)政治とは悪だ。政治に於ける最大の悪とは何か。スターリンのような独裁者が現れることだ。(許容できる独裁と出来ない独裁)

・「悪い候補」「うんと悪い候補」「とんでもない候補」これを排除するのが選挙。

抑も善い人は政治家にならない。プーチンは悪い政治家である。

しかし、「うんと悪い、とんでもない政治家」ではない。この程度の独裁は許される。プーチンは限りなくマフイアの親分に近い雰囲気を持つ。

第2章、プーチンの独裁者への系譜

インテリジエンス・オフィサー(諜報機関員)として、他人の心理を正確に読み取る技法と巧みな人脈活用術に加え、絶対に人を裏切らない生真面目さ。エリツインから大統領権力の移譲 ~(家族)と呼ばれたエリツインの「利権集団」を追及しなかったが、寡占資本家を切り捨てた冷徹さ。

経済人の仕事は、儲けて税金を国家に支払う事であり、政治に干渉することは一切認めない。ゲームのルール策定に寡占資本家を加えない。

・カリスマ性と指導力

政治集団 ①テクノクラ―ト(技術部門官僚) ②シロビキ(武闘派)

プーチンの五つの流儀

  • タイミングを待つ
  • 敵と味方を仕分ける(敵は徹底的に潰す)~国民には優しさ
  • 第三者ルールを守る ~ 情報提供者の了解を得る
  • 無意味な発言を避ける
  • 天命を信じる(実力を最大限に発揮できる)

第3章、20年独裁政権構想とユーラシア主義

「男と、男の愛と嫉妬」~他人を愛さず誰の愛も受け容れない

愛と嫉妬そして憎悪は、隣合わせの感情だ。

・民族理念の探究 ~ 国家イデオロギーの構築(ユーラシア地政学)
・欧米の民主主義はロシアには合致しない。

今は民主主義というスローガンは、一方的な優位性と自分たちの儲けを手に入れ自己の利益を確保する事である。「主権民主主義」という概念~ソ連後のロシア国家の基礎固め

プーチンの政治スタイル

1、対外諜報機関員としての情報手法

何に関心があるのかは、誰にも言わない。喜びそうな情報だけ報告してくる危険性を熟知している

2、“神がかり”になっている(神によって選ばれたという)

ロシアでは、権力はポストに就く

一般の物差しで測れないロシアという国。理屈でロシアは解らないので、ひたすら信じるしかない(あたかも信仰の世界)

プーチンの世界観 ~「国家独占資本主義」として5つの帝国主義センター

「ロシア、アメリカ、EU(欧州連合)中国、日本」

・ユーラシア同盟(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン)

  • ユーラシア主義 ②関税同盟 ③CIS(独立国家共同体)とは対立しない ④拡大された帝国(CISに自由貿易ゾーンの創設)

・プーチンは、うんと悪い候補、とんでもない候補を排除する選挙に勝利した消極的に支持されたに過ぎない大統領

第4章、北方領土問題

日本における対露外交の目標は北方領土の返還である

日ソ共同宣言に基づく四島の帰属に関する問題を解決し「平和条約を締結」することで歯舞、色丹引き渡しは約束済のはず、ところが56年の「東京宣言」を巡ってのやり取りでは、ロシア側は、露4、日0の形で帰属に関する問題の解決を提案しているに過ぎない。56年の共同宣言は、平和条約締結交渉の基本文書であって、したがって平和条約が締結された後に歯舞島と色丹島を引き渡すという約束は今も生きているということになる。

プーチンが持つ政治家の顔・戦略家の顔・歴史家の顔

2022年3/21平和条約交渉を継続する意思がないという声明を発表

・今後日本としてはパンデミック対策の共同研究分野で新型インフルエンザ感染症対策含め信頼醸成を築く事が有効とされてくるのではないか。

第5章、クリミア併合

2013年のウクライナ危機(ヤヌコビッチ大統領の逃亡)

マイダン革命(祖国をロシアから切り離して西ウクライナを構築したい)

2014年第一次ミンスク合意(停戦)2015年第二次ミンスク合意

親ロシア派武装勢力(ドネック洲・ルハンスク州)との紛争(内戦)

*ロシアによるウクライナ政策は、弾劾されるべきである(国際法・国連憲章違反)しかし、そのことはキーウの現政権を手放しで支持する事にはつながらない。

第6章、ウクライナ侵攻

日本にとって脅威になったロシア。

日本のマスメディアはウクライナに同情的になり、ロシア叩きが進行するような現状は危険である。あくまでも情勢分析は冷静に行いロシアの論理と思考を理解していくことが求められてくる。そうしないと、これからの正しい対策を立てることが出来なくなってくる。何故ならば、経済制裁によってプーチン政権が倒れることはない。いずれにしてもウクライナに国家が存在しないという事です。歴史的にも西部・中部(小ロシア)・東部、南部(ドンバス・黒海沿岸)という三つの地域間の違いが著しく正常に機能するナショナルの魂として存在したことは一度も有りません。(単一のウクライナは存在したことがない)

・NATOの東方拡大によってロシアを刺激し続けて来たことが今日の戦争に至った経緯ではなかろうか。
・二つの反体制運動とナチ支持者(ステパン・バンデラ)の英雄伝

「ウクライナ民族主義者組織・ウクライナ蜂起軍」

・ドイツのシヨルツ首相の発言~「ロシアを勝利させない」に対しロシアはウクライナを非ナチス化したい(内政干渉で国際法違反に当たる)

ロシア政府は領域の拡大よりもネットワークの帝国化を目論む

・Qǔād(日米豪印戦略対話)~インドにとっては中国封じ込めの参加

どの国も、イデオロギーや価値観より利害で動く。

日本もアメリカとの同盟は重要だ。しかしイデオロギー同盟という選択肢でよいのか。善く考えねばならない。

プーチンの描く「ロシア帝国」の地図

ロシア・中央アジア・バルト3国外モンゴルなどのユーラシア大陸北部

終章、平和への道程

「ブタペスト覚書」~ ウクライナは核兵器を放棄する。それによって米・英・露が領土不可侵の原則に合意。(核抑止力という厄介な神話の存在)

戦争を食い止める手段はどこまで行っても「対話」である。

狭いグループ意識に政治が絡みそれぞれの国の指導者たちが相互不信に陥いり対話が欠けてきている。

*地球文明の素晴らしさの1つは、多種多様な文明や文化が人類にとってのかけがえのない財産である。それらを愚かな人間の行為で一方的に押し付け衝突を繰り返し自滅させることだけは絶対に防がねばなりません。

・ハンチントンは「文明の衝突」の中で、西洋文明と他の諸文明との間に起きうる紛争について問題提起をしました。そのためにこその対話です。

あらゆるチャンネルを開放して世界中に対話を拡げなければなりません。

・池田・ズグロフスキー対談「平和の朝へ、教育の大光」

小説「人間革命」「新・人間革命」から「闘う言論」の展開

戦争の熱狂にブレない平和主義、創価学会とSGIが存在することは、戦乱の世界における大きな希望と云えるだろう。ウクライナにもロシアにもSGIメンバーが存在する。                  

以上