新・戦争論

一般書籍

≪僕らのインテリジェンスの磨き方≫      池上彰・佐藤優著

序章、日本は世界とズレている。

*有名無実の「集団的自衛権」

・ホルムズ海峡での自衛隊による、機雷除去の可能性はあり得ない。(オマーンの領域)安倍首相の心の問題であり、岸元首相への思いである。

・武力行使の新3要件の一つである明白な危険は。

国際法的にはかなり強い縛りである。(実を取った形の公明党)

・21世紀の戦争において、個別的自衛権と集団的自衛権は区別できない。

・閣議決定の文書自体、よく解からない。複数の解釈が可能な一種の宗教文書に当たり、経典と同じ扱いとする。 

・自衛隊の海外出動を止めたとする(公明党信者)・自衛隊を海外に送れるようになったとする(自民党信者)、他の政党や朝日新聞は自民党信者と同じ。

・村田教授(同志社大学)識者に聞く2015年5/28

公明党の果たした「歯止め」 ~(自衛の措置としての新3要件、海外派遣の3原則は高く評価できる)公明党への期待として与党内でも自民党とは違う存在感を発揮してほしい。与野党間のブリッジ役(橋渡し)を果してほしい。それにしては太田大臣の逃げの答弁にはがっかりした、残念だ。

*慰安婦問題の本質とは?

・池上氏のコラムへの編集権判断で、マスメディア、有識者が朝日新聞叩きに利用。今の日本は、世界からズレている。とりわけ、情報力、分析力といったインテリジェンス能力が個人にとっても重要になってきます。

第一章、地球は危険に満ちている

*クラウゼブイッツの「戦争論」は古くない ~ [戦争は政治の延長である]

通常戦争はなくならないで、核もあまり戦争の抑止力になっていない。

・イスラエルの無人機は暗殺者だ。サイバー技術は世界の先端能力を有する。

イスラム国の4割が外国人兵士(70カ国以上)

イスラエルの「栄光への脱出」に見るしたたかさ。

・中田考氏(極端な思想家)~ 民間会社が行う新しい戦争

「リスク・コントロール社」イギリスのプロ集団(テロ組織)。アメリカの民間軍事会社、ネパールのグルカ兵(傭兵)紛争を喜んでいる人たちがい

(混乱がビジネスチャンスになる)余計な事を知りすぎてしまう。組織ならざる暴力と云いますか、暴力民間企業や破綻国家がどんどんプレーヤーになってきているのが今の国際社会の難しさです。

・アフリカの人口問題。ウイルスによって人口問題は解決されるという考え方がある。エボラ出血熱の背後に人口爆発という問題あり。

第二章、まず民族と宗教を勉強しよう

*中国における毛沢東の予言。漢族(多人口)と少数民族(豊富な物産と広大な土地所有)との関係をうまく処理(団結)し、偉大な社会主義祖国の建設に勤めなければならない。今後の課題として、国民国家なしに産業化、近代化は可能なのかどうか。中華民族という民族意識の下、今の共産党政府に従い後は自分たちの宗族のセーフテイネットワークさえあれば、近代化は可能なのか。*中華民族は、存在するのか。建前としては、自治区。反発を抑えるためには、西部大開発のもと、チベットや新疆ウイグルに莫大な金をつぎ込んでいる。・“宗教は毒だ”と毛沢東はダライラマに囁いた。

・中国政府対バチカン ~ 無神論の共産党。要するに、共産党のいう事を聞かない奴は許せない。 共産党の支配に服していれば、キリスト教でもチベット仏教でも許す。・フランスは完全世俗国家(政教分離の国)

・今の世界は、拝金教といえよう。貨幣の本質としての宗教的効果 ~万札に万円の価値があると信じている。・イスラム国の正体は世界イスラム革命

・「遠隔地ナショナリズム」が世界を覆う ~ ウクライナ情勢の険悪化

・底辺労働者としてのウクライナ人

第三章、歴史で読み解く欧州の闇

・スコットランド独立運動の真相。イギリスは(スコットランド、イングランド、ウエールズ、北アイルランド地域からなる連合国である)北海油田は、スコットランドの領土・イギリスは民族国家ではなく、(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)新自由主義的経済政策による格差と民族や宗教の対立

*EUの首都、ベルギーが危ない

ヨーロッパが再び火薬庫に!“必要は、法律を知らない”~ 第一次大戦

第4章、イスラム国で中東大混乱

*アラブの春の後の無惨。スンニ派(慣習)サウジアラビアとシーア派(党派)イラン・シリアのキーポイントはアラウィ派(輪廻転生を認めている)

・ムスリム同胞団を皆殺しにしたアサド父(前大統領)

・オバマ大統領の失敗~シリアの内戦・イスラム国の横取り戦略~反政府勢力に入り込んで横取りしてゆく作戦・アメリカとイランの接近の理由

イスラム国が、イラクの油田を押えるためシリアより移動

*湾岸の黒幕、サウジアラビア。イラン対抗策、湾岸協力会議(GCC)集団安全保障体制サウジ、アラブ首長国連邦(バーレーン、オマーン、カタール、クエート)・アルジャジーラの偏向報道(サウジ批判は出来ない状況)

「サウジ家のアラビア」家産国家・スンニ派で一番過激な派(ハンバリー法学派;原理主義そのもの)・武装集団組織、アルカイダ、「イスラム国」・イラクの「狼の谷」~トルコの反米映画・嘘つきシーア派~“約束はしたけれども、約束を守るとは約束していない”・アサド政権を支持するイスラエル・モサド長官(中東の人)の交渉力~イスラエル諜報特務庁

第5章、日本人が気づかない朝鮮問題

*アメリカは日朝交渉を潰したい。下手にでても核を持たねば、つぶされる。弾道ミサイルを持つことが、アメリカから安全保障を取り付けるための唯一の方策。*金正日と金正恩の違い。ミイラが遺訓という形で政治をやっている。ミイラは喋らないから、過去の著作が見つかる。かってスターリンが、マルクス主義をレーニン主義もしくはマルクス・レーニン主義と呼び実質的にはスターリン主義を確立したのと同じ手法で、金日成・金正日主義の名において金正恩主義を訴える。*張成沢はなぜ処刑されたか?中国への不信感、ロシアから見ると北朝鮮は中国の従属国に写る。・日本のカネが頼りの北朝鮮・日本人大量帰還は北のカード(日本人問題の最終解決)

第6章、中国から尖閣を守る方法

・日本は過去に領有の正統性を秘密に閣議決定したことに問題あり。

中国側にとっては、台湾省の中に尖閣諸島があるという事実。一つの案として、日本は連邦制を布く方法がある。沖縄を州として連邦構成することで、そこに外交権を付与して台湾との独自の交渉権を持たせる。これは日米の基地問題にも当てはめられるのではないだろうか。

*中国の空母は怖くない。「戦艦武蔵」の世界(吉村昭)・航空母艦の時代になったのに、帝国海軍が「戦艦」に拘ったという話で巨大な無駄の歴史を描いた。このような非合理精神は怖いが、現代では無人飛行機の時代にはいっていて、航空母艦は時代遅れで怖くない。

*毛沢東化する習近平・毛沢東をモデルにカリスマ性を求めている。

・権力はポストにつく~古来権力は人につくと言われてきましたが、それにはその人物がカリスマをもっていないといけない。

・「虎も叩けば、ハエも叩く」 ~ 腐敗追及したり、アメリカに対抗意識を燃やすのも、民衆から見て頼もしいという印象を植え付ける狙いがある。

*ネットと世論は同じか?・ネット=世論 ~ 偏向判断につながる可能性

・サイバーカスケード現象 ~ 偏向した意見をネット上で押し流す。

・耐エントロピー ~ 社会的差別をつくりだす構造

*トルコと回教がつながるウイグル問題・トルコ系のイスラム教徒の国、

イスラム教徒は、豚をたべないから羊料理今後ウイグル人がナショナリズム

かイスラム主義化のどちらを取るかで中国の出方が違ってくる。中央アジア

と合わせてみると意外に裾野が広くチェチェン紛争と似てくる。イスラム主

義(国家を認めない)とチェチェンの民族主義が合わさって政府に抗議運動を起こして抵抗。中国にとっては、尖閣よりウイグルこそ重要である。

第7章、弱いオバマと分裂するアメリカ

*教養が邪魔するオバマ・黒人の公民権運動が未だ成功していない  

移民国家アメリカの暗部・白人だけの民主主義~「移民の運命」「同化か隔離」

黒人の差別の上に白人だけの平等が成り立っている。先験的な差異主義的心性がそれを要求するからであろうか。黒人がその集団になるだろう。

*アメリカの2050年問題。ヒスパニック(スペイン語を母国語とする中南米出身者やその子孫)ラティーノの人口が増加(民主党支持者が多い)人口逆転で共和党が選挙で勝てなくなる。民主主義を錦の御旗として掲げてきたアメリカですら、構造が変わりつつある。

*アメリカの宗教事情。ラティーノが増えるとカトリックも増える。しかしカトリックはすでに体制に取り込まれているから問題ないが問題はムスリム(イスラム教徒)であり、イスラム教は神と直結であり、良いも悪いも全てをアッラーのせいにする。

*大統領は、ヒラリー(民主党)?ラティノーの候補も考えられている。

*第八章、池上、佐藤流情報術五カ条

今の日本は、民主主義の危機ではなく、自由主義の危機。ネットの論調を社会全体の論調と思い込みすぐに、「マスコミは偏向報道している」と言い出すのは、不健全な考え方です。・公開情報だけで世界は解る。インターネット上のウエブサイト、ホームページ・新聞の国際面のベタ記事。・「情報は信頼できる人」から、母国語でとる。(息がつまる日本のネット空間)

終章、なぜ戦争論が必要か

*新帝国主義と過去の栄光

植民地を持たず、全面戦争にも至らず帝国化する。

金融を中心として、外に投資して儲けようとする時代。

*自由、平等、友愛という近代思想

本質的には、“嫌な時代”である。

戦争と民族対立の時代 ~ 流血の不足(殺し足りない)

以上 2016/02/27

コメント