人類の起源

人類の起源 一般書籍

古代DNA が語る、ホモ・サピエンスの「大いなる旅」

篠田謙一 著

はじめに

 2022年、ノーベル生理学、医学賞受賞  (スバンテ・ぺーボ博士)

 現生人類(ホモ・サピエンス)60万年ほど前にネアンデルタール人の祖先と分岐

第一章 人類の登場 ― ホモ・サピエンス前史

1,人類の起源をどう考えるか

 ・神話から科学へ ~ 「人は神によって創られた」とする。

  14世紀(ルネッサンス)以降、科学によって700万年に及ぶ人類進化の道筋が示されている。

 ・神話と科学の違い ~ 700万年→200万年→20万年前(ホモ・サピエンス)→6万年前以降にアフリカから世界各地へと展開(拡散)

  それに伴う文明の発達は、5千ねん前頃と推定される。

2,人類の進化史

 ・初期猿人→チンパンジーの祖先(二足歩行)→脳の発達

 ・猿人・原人(北京、ジャワ)、旧人(ネアンデルタール人)、新人(ホモ・サピエンス)

 ・ネアンデルタール人の脳(視覚に富む後頭部)

 ・ホモ・サピエンス人の脳(思考、創造性に富む前頭葉)

*150人を一つの社会構成の基本単位と捉える。

複雑な社会形成(言語、文字、物語、宗教、詩、音楽、文化)の中で、現在の世界構成は、大量データーによる通信ネットワークに支障が生じ、情報処理に混乱が生じてきている。

第二章 私たちの「隠れた祖先」

・ネアンデルタール人とデニソワ人(親戚関係)

ネアンデルタール人;ヨーロッパから西アジア、シベリア西部(ユーラシア大陸の西半分)

デニソワ人;デニソワ洞窟(パプアニューギニア、南アジア、東アジア、アメリカ先住民)

 ・遺伝子編集技術の進歩(山中伸弥氏のìPS細胞)

私達との違いがより明確化する。

第三章 「人類揺籃の地」アフリカ

1、「最初のホモサピエンス」から出アフリカまで

   人類は、出アフリカより世界各地に拡散するまで10万年以上この地上で暮らしてきた。その間幾度か環境変動を乗り越えサハラ砂漠の南と北では成立の歴史が大きく異なっている。サハラ以南の地域が人類の故郷とされてきている。

2、アフリカ内部での人類の集団分岐(移動)

3、農耕民と牧畜民の起源

  農耕開始を食糧生産革命と呼ぶこともあります。

  狩猟採集民との融合による集団移動(牛を中止とする牧畜民との移動)

  牧畜と突然変異~家畜に草を与え育てそのミルクや血や肉を食するという発明は、乾燥地域への進出を可能とした。

  ラクターゼという酵素(乳糖耐性遺伝子)を必要としてくる。

第4章 ヨーロッパへの進出

・ユーラシア基層集団の東西分岐

   私たちに繋がる祖先の出アフリカは、6万年前~5万年前の頃と推定

6万年前から温暖化に向かいその後反転して、5万年前から寒冷化に向かい氷床が拡大した。

  ・後期旧石器時代(2万6千年前~1万9千年前)は最後の氷河期に当たり氷床の発達が海水面の低下を伴い海面が最大120mも低下した。

1万ねんほどの間に東アジア系、ヨーロッパ系、ユーラシア系の3系統に分岐

  ・ヨーロッパ集団の出現

    氷河期が終わりアルプスの氷床が消滅したことで、東西ヨーロッパの交流が容易になった。

・婚姻ネットワーク~近親交配を避ける形で交配が行われていった。

牧畜民による遺伝子変異が農耕民族を一変させた。

・ヤムナム文化集団(縄目文土器文化)~初期農耕文化(線帯文土器文化)

・細菌のゲノムが教える病

ペストの大流行~3回にわたる世界的大流行~北里柴三郎氏の貢献

新型コロナウイルス感染症 ~ 現在進行中

・最古のイギリス人~白い肌と金髪、ブルーの眼、現在これをセットで持つことは偶然によるものとされている。

第五章 アジア集団の成立

極東への「グレート・ジャーニー」

・古代北ユーラシア集団(旧石器時代4万年ほど前)・古代東アジア集団

・縄文人のゲノムと東アジア集団(1万6千年前~3千年前までの1万3千年の間)

日本人の中でゲノムを共有 ~ アイヌ集団、沖縄、本州、四国、九州

・アジアの北上ルート(シベリア北東部)

・南アジア(インド中心)インダス文明~巨大な人口を抱える

・東南アジア集団の成立~言語による拡散

・南太平洋、オセアニア、ポリネシアへの進出(アウトオブ台湾のモデル)

・ラピタ人~170の島出構成する集団(トンガ)

・ポリネシア人と南米大陸

・東アジア集団~熱帯雨林、砂漠、永久凍土(ツンドラ)

・中国の南北地域集団

第六章 日本列島集団の起源~本土・琉球列島・北海道 

・日本人のルーツ ~ 南北3千キロに及ぶ日本列島

東南アジアなどから北上してきた集団(縄文人)

大陸北上集団~北東アジアの新石器人となった。その中から朝鮮半島を経て、九州に稲作をもたらし、弥生時代を開始した(渡来系弥生人)

琉球列島集団(沖縄)・北海道集団(千島、カムチャッカ)

第七章 新大陸アメリカ

・アメリカ先住民 ~ 海沿いルートで北米に移動

東ユーラシアグループから南回りで東アジアに向かう集団と北回りでシベリアに向かう古代北シベリア集団が生まれた。

・北米大陸での拡散 ~ 北方先住民と南方先住民の二つのグループ

太平洋側を南下するルートで南米へ移動

・アンデス山脈を挟んだ東西グループの存在

・インカ帝国 ~ スペインに征服される(16世紀)

巨大な帝国を作り上げていく時支配地域に影響を及ぼすとともに、自らも周辺の影響を受け変化せざるを得ない。これは文化に限らずヒトの遺伝的な構成についても言える事でもある。

・カリブ海への拡散~700以上の島々が点在する地域に2回にわたって進出

現在の住民は、大航海時代以降に到達した人々の子孫にあたる。

・バンパイア(吸血鬼)として恐れられた人のDNA~当時流行った結核患者

終章 我々はどこから来たのか、何ものか、どこへ行くのか

・「ゴーギャンの絵画」が語る19世紀終わりころの問い

人種、ゲノムの違い。~ 0、1% に重きを置く捉え方

99、9%の共通性に重きを置く「平等性」

「人間とは何か」古代ゲノムの解析(意義)

・四大文明(古代文明)~ 環境の違い、歴史的経緯による違い

おわりに

次世代、シークヱンサの出現により研究体制は大きく変化

以上